蛯原英夫 W.B.S.プロクラシック24 優勝レポート
ベイトフィネス&スモラバで初冬の霞ヶ浦を攻略
エバーグリーンプロスタッフの蛯原英夫です。2015年11月21~22日に霞ヶ浦で行われたWBSクラシックで優勝することができました。今期最後の最後に、本気で狙っていたてっぺんに立つことができて嬉しいです。応援してくださいました皆様、本当にありがとうございました。
■ バサーオールスタークラシックの雪辱を果たす!
自分にとって今年最大のイベント、バサーオールスタークラシックが終わり約1カ月。長年に渡り追いかけ続けてきた夢である大事な大会が終わり、1人考えた1カ月。「あの時、あの場所に必ずバスはいたはず。なぜ喰わせられなかったのか……」
この夢の大会にカムバックするのに掛かった時間は8年。出場権を獲得するために必要なタイトルはWBS年間1位であるアングラーズオブザイヤー、あるいはWBSクラシック優勝。しかし、その8年の間、WBS年間2位、WBSクラシック2位を何度も何度も何度も経験。「勝負の世界では1番じゃないとダメなんだ!」と正直、悔しくて苦しい日々が続いていました。
そして昨年2014年、その悔しさを糧にやっとつかんだWBSアングラーズオブザイヤー。やっとの思いで取り戻したあの夢のステージへの切符。
「今まで悔しかった分、バサーオールスタークラシックに自分のすべてをぶつける!」と夏からほとんど休み無しで日曜日も仕事を入れ、練習日を少しでも多くとるためにスケジュールを調整。そして、こんなに練習をしたのは人生の中で初めてという延べ7日間のプラクティスを敢行し、この時期吹く北東の風のなかで手応えをつかみ「いける!」と自信があった夢の舞台。
ところが、蓋を開けると想定外のベタ凪。さらに南風……練習で手応えがあったストロングパターン戦略を2日間迷いなく信じてやり切ったものの……上手く機能せず惨敗。
「自分の選んだポイントに間違いはない、あの場所からいなくなるはずがない。必ずバスはいる!」「自分の選んだ勝負エリアが間違ってなかったことをWBSクラシックで勝って証明する!」バサーオールスタークラシックが終わってからWBSクラシックが開催されるまでの1カ月間考え抜いて、「どんな状況でも、2日間あのときと同じ場所で勝負する!」と決めました。
「でも、もしまたベタ凪だったら……」
「そのときはよりスローにピッチンスティックの1/20ozのネイルリグでやり切ろう。ロッドはヘラクレス・ブルーマイスターLTSにラインはバスザイル・マジックハードR 14ポンド。これなら多少カバーに巻かれても引っ張り出せる!」
■ 初日2位 またしても……
そして迎えたクラシック初日。予報は無風。勝負エリアに着いてみると、やはり予報通りの無風。そこで、1投目からピッチンスティックで集中して丁寧に攻め続けていき……昼までに4本キャッチ。この時点で4キロ超え。「あと1本!」
そこでプラクティスで目星をつけていたポイントへ移動。ここではダブルモーションの2.8インチの3.5gテキサスリグで1本追加、リミットメイク。初日を4,800g、2位で折り返し、明日へ望みをつなぎました。
2日目は北東風の予報。スタート前、応援に駆けつけてくれた仲間に「今日は北東風が吹くから6キロ釣ってくる!」と宣言。
ポイントに到着するとやや強めではありましたが北東の風。正にあの時から、待ちに待った北東風。この風が当たると喰いが良くなることはわかっていたので、得意のテキサスリグとゼロダンのローテーションで撃っていくことに……しかし、釣り開始から約2時間たってもノーバイト。「マジか!?」
そこで、前日同様のピッチンスティックにチェンジ。そして約30分後、ようやくファーストフィッシュをキャッチ。この1本が大きなヒントをくれました。
初日は晴天無風で気温も上がり水温も上がったのですが、2日目は朝から防寒着を脱げないほどの寒さ。この寒暖の差によりバスが極めてスローになっていると判断。「良しこれだ、これで良いんだ!」と風が吹くなか、ピッチンスティックで500gを1本追加。
その後狙いの場所を一通り撃ったのですが、この2本の後はバイトなし。「なぜ?」「もっとフィネスなのか?」
■ 自分のエリアに魚は絶対いる! C-4ジグで6キロ超え
そこで、初日終了後の夜、ふと思いつき「とりあえずフォローベイトでスモラバを用意しておこう」とヘラクレス・スパークショットにリグっておいたC-4ジグ 2.7gにC-4シュリンプ 3.5インチをストレージから取り出しました。
普段はあまり使わないタックルだったので、この大事な場面でやり続けることができるのかという若干の不安もありましたが「痺れを切らすまでやってみよう」とダメ元で撃ち直していくことに。これも、絶対にバスがいるとわかっているからできること。
しかし、そんな心配も吹き飛ばすかのように、着底したC-4ジグをリフトさせようと思いラインを張るとスパークショットが微妙な変化を捉えました。一瞬「根掛かり?」とも思いましたが、ソリッドティップが微妙なバイト確実に捉えオートフッキング。1,400gのナイスバス!
この違和感程度のバスのアタリから、「寒暖の差でバスの活性が下がりアタリがはっきり出ないし、吸い込みが悪くなっている。繊細なティップのスパークショットと軽い力で吸い込めるC-4ジグが合っている」と確信。「これはまだまだいるぞ!」とさらに集中して撃っていきます。そして、4本目が来ましたが、「杭に巻かれている。ヤバい!ヤバい!」
でも、バスザイル・マジックハードRは強かったです。貴重な750gをキャッチ。正直、本気で使うとは思ってなかったタックルだっただけに、リールに巻いてあった12ポンドを一般的なベイトフィネスのようにもう少し細めのラインに巻き替えずに、そのままにしていたことも味方してくれたと思います(笑)
あとはC-4ジグを撃ち続けるだけ。そして、キロアップをキャッチしリミットメイク。時間は11時半。「これで5キロは確実に超えた!6キロ台に乗せたい。1番小さな500gを入れ替える!」
とここで、撃っていないゾーンが頭に思い浮かび、小移動。撃つこと約20分、スパークショットが小さなバイトのような違和感を捉えました。「何かボトムにあるのか?」
確認するためにもう一度同じ所にC-4ジグを入れると……ボトムには何もありません。「やっぱりアタリだったんだ」と思った瞬間、ラインがゆっくりと手前に走りだし、「よーし喰ったぞ」とアワセを入れて確実にフッキング。
上がってきたバスは1,200g。500gと入れ替え、ギリギリですが6キロに乗せたかというウエイトに。「これで十分やり切った。これを超える人がいるなら負けても仕方ない。その人を讃えるよ」とプレスに言って、まだ残り時間はありましたが、トラブルなどを考慮して80キロ巡航で一路土浦新港へ向かいました。
そして、帰着15分前に無事に土浦新港に辿り着きウェイイン。スケールに乗った5本のバス達のウエイトは……6,090g!トータル10,890g!優勝決定の瞬間、思わず拳を天に向けて突き上げていました。
「やはり、自分が信じたエリアにやはりバスはいた!」だけど、正直バサーオールスタークラシックのあの時あの状況では喰わせることができなかった自分。喰わせられなかったことで自分の未熟さを思い知り、その悔しさが自分を成長させてくれたのです。あの舞台でのあの悔しさがあったからこその今回のWBSクラシック優勝。
この試合、キーとなったのはC-4ジグとスパークショット。僕にとって、霞ヶ浦水系で勝つために必要な武器として、今後フロッグと並んでいつでも必ず積んでおきたいタックルが1つ増えました。
「どんなに厳しい状況でも夢をつかむまで諦めちゃダメ、願えば必ず叶う!」これからも自然を感じ、自分にしか感じることができない直感を信じて走り続けていきます!
最後になりますが、いつも応援して下さる皆様のお陰で今シーズンの最後に最高のパフォーマンスができました。本当にありがとうございました。また来シーズンもインパクトあるゲーム展開でタイトル獲得目指して頑張りますので応援、よろしくお願いいたします。
■タックルデータ
ロッド:ヘラクレス HCSC-67MH-LTS ブルーマイスターLTS
ライン:バスザイル・マジックハードR 14lb
ルアー:ピッチンスティック 1/20ozネイルリグ
ロッド:ヘラクレス HCSC-67MH-LTS ブルーマイスターLTS
ライン:バスザイル・マジックハードR 14lb
ルアー:ダブルモーション 2.8インチ テキサスリグ 3.5g (E.G.タングステンバレットシンカー)
ロッド:ヘラクレス HCSC-60UL/MST スパークショット
ライン:バスザイル・マジックハードR 12lb
ルアー:C-4ジグ 2.7g + C-4シュリンプ 3.5インチ
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