世界基準のフリッピングロッド「モリゾーフリップ」の秘密にせまる
世界最高峰のB.A.S.S.バスマスター・ エリートシリーズで活躍する清水盛三の右腕、モリゾーフリップ。琵琶湖のヘビーテキサスリグで、レイク・ハバス戦の優勝ロッドとして、日米のフィールドで の活躍は、最近のプロスタッフニュースで紹介済みです。そのモリゾーフリップの秘密について解説します。パワーと食わせを両立するストレートテーパー ティップとは・・・
パワーと食わせの両立
モリゾーフリップは名前の通り、清水盛三プロがアメリカツアーで培った経験をもとに、「世界基準のバスロッドを」との思いから開発がスタートしました。彼はアメリカの過酷なトーナメントを戦い抜くために、パワーと食わせの両立にものすごいこだわりを持っていました。
ア メリカのフィールドで超ヘビーカバーから10パウンダーを引きずり出すパワーを持つと同時に、タフコンディションでのショートバイトをも確実に乗せる、食 わせの力を持ったロッドが絶対に必要なのだと主張しました。ただ硬いだけの竿ではバイトを弾いてしまう。食い込みを良くしようと柔らかくするとパワー不足 でカバーからビッグバスを引きずりだせない。
そのどちらも犠牲にすることなく、高次元で両立するための形を求め、たどりついた結果がストレートテーパーティップというコンセプトです。
従来のフリッピンロッドなどのジグ、ワームロッドはファーストテーパーのものが多いのですが、ラインテンションなどの力が掛かったときにティップが敏感に反応するダイレクトな操作感が特徴です。
弱い力なら小さく、強い力が掛かれば大きく曲がるといった力の掛かった分量だけ曲がるのです。ルアーを動かす、アタリを感じる、フッキングするといった動作に敏感に反応する、どちらかと言えばジグ、ワーム向きのテーパーといえます。
しかし、バスの吸い込む力が弱いときにはティップが少ししか入らず、特にティップが硬すぎると浅掛かりになったり、ルアーを放したりしてしまうことがあり ます。アングラーの技術(電撃アワセ、ラインスラックコントロールetc)でカバーするのもありですが、盛三プロが求めたのは違う方向性でした。
本場アメリカのバスロッドではポピュラーな、ストレートテーパーティップをモリゾーフリップに取り入れたのです。
ストレートテーパーティップとはアメリカでは多くのクランキンロッドに採用されている、「バイトをはじかず吸い込ませる」ためのテーパーデザインで、ラインテンションが掛かった状態での弱い吸い込みにもティップが大きく入るのが特徴です。(ただし穂先が重くなってしまうので軽さや操作性を求める日本人アングラーにはあまり人気がないのですが・・・)
ファーストテーパーの場合、ロッドは穂先にいくに従い徐々に細くなっていきますが、ストレートテーパーティップのモリゾーフリップでは、トップガイドから第4ガイドまでのブランクス約30cmのテーパーがまっすぐに近くなっています。
ティップに力が掛かるとまっすぐな部分は曲がらず、(A)に力が集中してそこから曲がり始めます。1点に力が集中することでスムーズに入り、まっすぐな部 分が長いほど大きく入ることになります。(テーパー以外にもさまざまな要素があるので、実際はこのように単純ではありませんが・・・)
でも、なぜ巻き物用のテーパーのロッドをジグ、ワームの釣りに使うのか?
ジグ、ワームの釣りで「バイトかな?」という微妙な違和感に対して、ラインを張って聞くことがあると思います。しかし、ラインを張ったとたんにバスも違和感を覚えてルアーを放してしまったということがないでしょうか。
まして、バスとの距離が近いフリッピングではなおさらです。また、ラインを張った瞬間にいきなり走り出しアワセのタイミングを逃してしまうこともあります。
アタリを聞くためにラインを張った状態は、クランクベイトなど巻き物の釣りでラインテンションがかかった状態に近いので、「クランキンロッド用のストレートテーパーティップをジグ、ワームの釣りに活かすことができるのでは?」と考えた盛三プロはさすがです。
事実フィールドテストでも、このテーパーを採用したとたんに「全部丸飲みですわ~」と今まで浅掛かりでのバラシに悩まされていたことが嘘のように解消されたのです。
ティップをソフトにすることで吸い込みを良くしたのではなく、テーパーデザインでそれを解消したので、バスをカバーから引きずり出すパワーもアップさせることに成功しました。
ただ、穂先が太い分、重くなってしまうことが欠点ですが、太さ=強さであり、軽さより強さを求める盛三プロならではの選択と言えるのではないでしょうか。他にもガイドセッティングやグリップ形状など過酷なアメリカのトーナメントを戦い続けた経験からフィードバックされた彼のこだわりが詰まったロッド、それがモリゾーフリップなのです。
このコンセプトはディトネーターにも採用され2006年BASSエリートシリーズ、ケンタッキーレイク戦での盛三プロ優勝の原動力となりました。
ただし、これはアメリカのフィールドに限ったことではありません。実はモリゾーフリップは日本のフィールド、バスにこそ威力を発揮するのです。
多くのプレッシャーにさらされている日本のスプーキーなバスを、バイトをはじかないティップの力で違和感なく吸い込ませることができるモリゾーフリップ。極小のアタリ、わずかなチャンスをものにする。これこそ究極のフィネス対応フリッピングロッドといえるでしょう。
「僕のロッドは世界基準。モリゾーフリップは日本のタフなフィールドのバスを釣るためにこそ使ってほしいロッド。『フリッピングロッドを持たずしてバスフィッシングを語るなかれ』ですよ。」
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