清水盛三が語る
バスマスタークラシックで実践したクランキングテクニック
2014年2月21~23日アメリカ・アラバマ州レイクガンターズビルで行われたバスマスタークラシック。清水盛三がその戦いを振り返ります。
連日ビッグバスをキャッチし決勝進出~15位入賞の原動力となった得意のクランキング、「パワーグラス・サーバル&ワイルドハンチ8フッターによる喰わせのテクニック」を公開。
■ 大寒波のプラクティス 優勝を狙うモリゾーの戦略とは
う~ん、なかなかうまいこといかないね。ガンターズビルは僕にとって大好きなフィールドなんで優勝目指して勝負にいったんやけど・・・悔しいというのが本音。狙いは悪くはなかったと思うねんけど、いろいろと釣り以外のところで集中できないことが多かった。まぁ、これがクラシックやし、みんなイコールコンディションなんでしょうがないよね。
ただ、急激な天候の変化で釣れへんなか、腹をくくって根性決めてよくやったと思う。そこだけは今回唯一自分を褒めてやりたいかな。まあ、それほどプラクティスでは釣れてなかったということなんやけど・・・
クラシックは少し変則的で公式練習3日間、オフ(メディアデイ)2日間、前日予行練習1日というスケジュールなんやけど、公式練習では初日1本、2日目3本、そして3日目2本。1本だけ6lbのメスを釣ったけど後は全部小さいオスだけ。さらに、前日練習も2lbのオスを1本だけ。正直「ヤバイ、リミットもとれないかも・・・」という感じで恐怖以外の何物でもなかったよ。
とはいえ、練習はあくまで練習。試合中の天気がどうなるか、どこまで季節が進むのかを意識しながら淡々とこなしていった。
朝の気温は氷点下。大寒波のなかでも先を見越して、春バスの動きを追いかけるプランでプラクティスを開始。 |
今年のアメリカは日本と同じく大寒波が連続して来ていて、ホンマに寒くて朝はボートが凍るほど。公式プラのときは最高気温が5度、水温がコーブ内で4度台やってん。今までにも経験がないほどの急激な状況変化やったし、早春の釣りでキーになるグラスは、12月のプリプラのときには結構あったんやけど水温が下がって全然なくなってしまっていた。多かった場所でかろうじて残っている感じだった。
もちろんこの時期ビッグウエイトを出そうと思ったら狙いはプリスポーンのメス。と言っても、もちろんまだスポーニング直前というわけではないので、スポーニングに向けてエサを喰いにディープから上がってくる、目覚めたばかりの体色の白いビッグバスを狙っていた。
そいつらがステージングするような、沖のブレイクやハンプなんかの地形変化とグラスが絡む、水深にして2.5~4mほどのスポットをチェックしていった。まぁとにかく、「どこにグラスが残っているのか?」と3日間魚探を掛けまくっていたね。
ほとんどの時間を魚探掛けに費やしたプラクティス。華やかな舞台の裏で気の遠くなるほど地道な作業を淡々とこなすモリゾー。 |
もちろんシャローのリップラップなんかも考えたけど、目に見えるスポットだと人とバッティングすることもあるし、1日だけじゃなく3日間ビッグウエイトを出そうと思えば、単発になりがちな元々シャローにいる魚じゃなくて、ある程度のスクールでディープから上がってくるビッグバスを狙いたかった。
だから、練習中に狙っているところは、この天候ではまだ魚が入っていないか、入っていても口を使わないと割り切っていた。でも、さっきも言ったように本心では「ホンマに釣れるのか?」って怖かったけどね。
ただ、試合では一気に気温が上がるという予報だったし、早春のバスは一気に動くし、プリスポーンのビッグバスで揃えればとんでもないウエイトが出せるし。しかも、大好きなレイクでの優勝を狙っていたからやるしかなかったね。
プラクティスとは別にメディア取材もプロアングラーとしての大切な仕事。今回のガンターズビル戦はモリゾーも注目選手の1人。 |
■ 狙いはディープから上がってきた直後のプリスポーンのメス
で、試合1日目。メインに考えていたスポットが全然ダメだったんやけど、前日プラでたまたま見つけたハンプに移動してすぐに6lb6ozのビッグフィッシュがきた。
ルアーはプロトのワイルドハンチ8フッターで、釣り方も狙い通りやったけど、ただ一つ狙いと違ったのが、細くて体色も黒いバスだったこと。これは、ずっとそこにいた魚でディープから入ってきたヤツじゃないって感じだったんで、「この1匹だけではまだまだわからない。ここからが勝負!」と気持ちを入れ直した。
で、その後この場所でなんとかリミットメイクをすることができた。5バイト5フィッシュとギリギリやったけどなんとかウエイト(16.11lb)を出すことができて23位からのスタートやったね。
この日ウェイインしたバスは、すべてワイルドハンチ8フッターで釣った魚やったね。しかも、メインのスポットで釣った魚はすべてメスやったし、1時間のうちに5、6本バタバタと釣れたりと狙い通り。途中、別のエリアでフェイスで2本釣ったけどサイズも小さかったし、もっと気温が上がってくれば魚もどんどん入ってくるんで、最終日も同じ場所でクランキングをやり切るしかないって感じやったね。
ただ、同じエリアにケビンバンダムやアイコネリがいたけど決勝進出ならず。今回は釣り勝った形にはなったけど、オフショア組のウエイトが伸びていないのは気になっていた。
しかし、その後は波に乗れず計6本。5本のウエイト(17.80lb)は前日より少し下げてしまったものの、最終的に15位まで順位を上げることができた(3日間のトータル53.10lb)。
でも、一流選手はそんな中でもしっかり結果を残しているんだから、僕もそんな中でもイライラせずに集中できるようメンタルを鍛えることが今後の課題やね。
■ キッカーを仕留めたクランキングテクニック
でも良かったのは、3日間通してほとんどの魚、特にキッカーはすべてプロトの8~10ftダイバーのワイルドハンチ8フッターだったことかな。カラーはシークレットライム。表面の塗装が全部剥がれるほどボロボロになるまで3日間投げ倒したよ。
プロトのワイルドハンチ8フッターを3日間投げ倒して連日キッカーをキャッチ。早くも本気の試合で結果を出した。 |
詳しいことはまだ秘密やけど、ちょうどこのクラシックの直前にOKを出した、リップに「ファイナル」と書いたプロト最終型やった。大事な試合で本気で信じて使うことができるルアーに仕上がっているんで楽しみにしていてくださいね。
それと、パワーグラスのサーバルがいい仕事をしてくれた。掛けた魚は全くバラシていないよ。極限の緊張感の中でノーミスというのはホンマに大きいね。超本気の試合のためにつくったロッドが早くも活躍してくれた。
特に最終日の朝の6lbオーバーもリアフック1本の皮一枚って感じやったけど、しっかり獲らせてくれた。
2日目のキッカーをキャッチした直後の写真。ご覧のとおりの外掛かりも確実に仕留めたパワーグラス・サーバル。3日間バラシゼロ。 |
とにかく「バラさず確実に仕留める」というのは、僕がパワーグラスに求めた最も大事な要素やねん。5lb、6lbクラスのバスでも楽々寄せてこれたし、世界最高の舞台でそれを証明できたことはホンマにうれしいね。
あと、前の柳井原ダムのロケのときにも言ったけど、サーバルはホンマに感度がいい。リトリーブをしているときに、魚が触れてきているという感じがわかる。これはクランクベイトの振動の変化を感じ取りやすいということ。
だから、そんな感覚があったときは次のキャストで喰わせにかかる。バスは喰いそこなってスイッチが入った状態なんで、次のキャストがすごく大事になる。
ショートバイトがチャンスに。直後のキャストで狙って仕留める。緻密に計算されたモリゾーのクランキングテクニック。 |
で、どうするかというと、リトリーブスピードを変化させて喰わせるんやけど、まずはその直前のキャストと比べて少しスローダウンしてやる。そうするとしっかり吸い込んでくれるからね。何も考えずにただやみくもに投げて巻いてもダメで、次のキャストはしっかり狙いを意識してやることがホンマ重要。
ただ状況によっては、逆に速くしたり、一瞬ポーズを入れたりすることもあるし、あとは引いてくる角度を変えることも有効なんで、これもいつも言っていることだけど、その時その瞬間を感じてアプローチすることやね。いずれにしても、3投以内に喰ってくることが多いんで、ショートバイトの直後は集中することが大切。
パッと見、ただ巻いているだけのように見えるかもしれへんけど、実はこのときもこんなテクニックを駆使して喰わせていってたんですよ。ホンマ、サーバルのおかげやったね。
みなさん応援ありがとうございました。すぐに今シーズンの試合が始まるので、来年もクラシック出場目指してがんばります!
ロッド:ヘラクレス HCSC-611MH サーバル
ライン:フロロカーボン 12lb
ルアー:ワイルドハンチ8フッター(プロト)
清水盛三オフィシャルサイト「NEVER GIVE UP」
http://www.morizoshimizu.jp/
清水盛三オフィシャルブログ“I HAVE NO LIMIT”
http://ameblo.jp/king-morizo/
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